「ワンコインで豪華ランチが楽しめる店」として、一時代を築いた『さくら水産』。かつてはサラリーマンの強い味方として都心を中心に多店舗展開し、破格のサービスで多くのファンを集めていました。
しかし2025年現在、その姿は大きく変わりつつあります。本記事では、さくら水産の変化を通じて、外食業界が直面している課題や時代の流れを読み解きます。
かつての「神ランチ」伝説
一番の魅力は、ワンコイン(500円)で楽しめる豪華な定食。焼き魚や刺身といったメイン料理に加え、
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ご飯・味噌汁のおかわり自由
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生卵、海苔、漬物まで食べ放題
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納豆や冷奴などが100円未満で追加可能
という圧倒的なコスパが売りでした。都心のオフィス街では、昼時に行列ができるのが当たり前。まさに「庶民のオアシス」と言える存在でした。
現在の状況:店舗数激減、価格も2倍以上に
2025年5月現在、全国の店舗数はわずか11店舗。そのうち東京都内に残るのは4店舗のみ。最盛期に比べて、実に9割近くが閉店した計算になります。
ランチ価格も、かつての500円から現在では最安1100円〜最高1480円に。2〜3倍近い価格帯となり、財布への優しさはすっかり影を潜めました。
サービスの変化が顧客離れを招いた?
かつては無料だったサービスが、次々に有料化・簡素化されています。
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ご飯・味噌汁のおかわり → 有料
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卵・海苔の提供 → 廃止
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サイドメニュー(納豆・冷奴など) → 消滅
これにより、さくら水産ならではの「満足感」が大きく失われたと言われています。値上げ自体は時代の流れとして理解できても、満足度が伴わない価格上昇は、顧客の離脱を招く大きな要因となるでしょう。
なぜここまで縮小したのか?2つの大きな理由
① 物価高と人件費の高騰
外食業界全体の問題でもある「原材料費」「人件費」の上昇。かつての価格設定では利益が出づらくなり、安価・大量提供型のビジネスモデルが崩壊しつつあります。
現在、都内の外食ランチ平均価格は1250円前後とも言われており、「ワンコインランチ」はもはや時代遅れなのかもしれません。
② サービスの縮小による魅力の喪失
食べ放題だった副菜や、ご飯のおかわりなど、さくら水産を象徴する要素が次々と廃止されたことで、かつての魅力が失われたという声も多いです。「安いだけじゃない」体験価値こそが、ファンの心を掴んでいたとも言えるでしょう。
さくら水産の今後に注目
さくら水産の衰退は、外食業界全体が直面している「価格と価値のバランス」に関する重要な教訓でもあります。
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値上げ=悪ではない
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ただし、その価格に見合う満足感をどう提供するか
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サービスを減らすなら、別の魅力を補う工夫が必要
今後、さくら水産がどのように再起を図るのか。あるいは、新たな「庶民の味方」が現れるのか。外食の在り方そのものが問われる時代に差しかかっているのかもしれません。
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